今、社葬の様式は年々変化しています。これまで社葬の経験のない人はもちろん、
ベテランの方でも戸惑うことが多いのではないでしょうか。
この章では、よく問題になりがちなことがらをQ&A方式で紹介します。
社葬の日取りは何を頭において考えればよいですか?
社葬を執行するときは、関係者、会場などの都合を優先して決定します。仏教の場合、故人の宗派を尊重し、密葬を依頼した僧侶に社葬の導師を依頼するのが普通で、まずはこの僧侶の都合が最優先されます。次に会場の都合を確認して日程を絞り込みます。日程としては「友引」だけをさければよいでしょう。以上を条件に、四十九日までを目安として社葬執行日を決定します。なお、参列者への配慮として平日の午後一時~二時の告別式が多いようです。
故人の私的要望を社葬に取り入れる場合はどうしたらよいですか?
社葬というのは建前で行う儀式ですから、あまり私的なことはさけた方がよいでしょう。しかし、故人が好きだった花を祭壇いっぱいに飾るなどの配慮は行うべきでしょう。社葬に相応しくない要望は、友人の弔電等でお話いただくなどの方法がよいでしょう。
社葬を効果的に盛り上げる具体的方法を教えてください。
ある社葬で、社員が会場通路一面に100名ほどユニフォームを着用して整然と配列し、遺骨と位牌が遺族に抱かれて入場してくる場面は、胸がジーンときて感動を覚えました。社葬としての儀式性を高め、社葬開始の演出効果も上がり、セレモニー全体を引き締め、素晴らしい社葬だったと印象に残っています。
また、社旗等も掲揚も、社葬演出効果としてはよいでしょう。
弔問はだれに依頼したらよいですか?
一人目は取引先代表として、会社の関わりの深い重要な取引会社の社長などに故人の会社への功績を中心にお話をお願いします。次に友人代表に故人の私的な一面や人柄を偲ぶお話をしていただきます。最後に社員代表。この場合、組合の執行役員を選出し、会社の将来の希望に満ちた話をしていただくといったケースも多いようです。以上の三代表に弔辞依頼をします。人数は三~五人位がまとまりがいいでしょう。弔辞を依頼する方には故人の経歴書や会社案内をお渡ししておきます。取引先で一社のみ依頼すると問題がでる場合、公的な立場の議員や業界組合長などに依頼する方法もあります。また、弔辞予定者が多い場合はご奉呈(お供え)のみにするとよいでしょう。
来賓予定者から代理の参列の連絡を頂いたときは?
先方の社長を予定していても、都合により本人が参加して頂けないケースもあります。役員クラスの代理人であれば、来賓席を用意するのが普通ですが、秘書の方、一般社員の方が代理で参列される場合は、来賓全体のバランスを考えて、一般扱いするケースが多いようです。しかし、今後の取引のときも考慮して、特別に来賓席を用意する場合もあります。
僧侶へのお礼の金額は?
僧侶のお礼は、人数・規模などによっても変わりますので、依頼の際は率直に伺うのがよいでしょう。お礼を渡すタイミングは、社葬が終わり、僧侶が、控室に戻られた際に、お礼の言葉も添えて、お布施とお車代に分けてお渡しするのが普通です。
香典は会社の収益としなければいけないのですか?
香典は遺族に対する弔慰の印として、故人の霊前に捧げるものですから、その収益は原則として、法人の益金に算入する必要はないと考えられております。その方が遺族にとっても、良心的な対応といえるでしょう。
香典返しはだれの名前で出せばよいですか?
香典を喪家にお渡しすることが多いので、香典返しも喪主名で出す場合が多いようです。その費用を会社で全額もしくは一部負担する場合があります。この場合、喪主側に所得税も含んで、喪主へのお金の負担をしてあげるという意味合いもあります。
香典の差出人が「○○一同」等の場合、会葬御礼品はいくつ必要ですか?
職場一同、友人一同と表書きされている場合、お礼品は、参列者の人にお渡しします。そのとき、お客さまに「大変失礼ではございますが、お返しについては、何組ご用意いたしましょうか」とお伺いし、その意向に合わせて対応するとよいでしょう。
個人の名前が連名で入っている香典を頂いた場合は、その人数分だけ会葬お礼品をお渡しするのが普通です。
供花を辞退するケースが多くなっているのはどうしてですか?
配列順に苦慮が予想され、トラブルの要因になりかねない、会場が狭くて並べられない、供花の数が予測できない、供花が数社の花屋さんから届き供花のデザインが不統一になり、見栄えがしない、などの理由で辞退するケースが増えているようです。
しかし、供花がないと会場が寂しく、雰囲気がでない場合が多いので、充分に考慮してから辞退を決めましょう。
供花の配列位置はどのような順に並べるのですか?
一概にはいえませんが、祭壇に最も近い場所が最上位、入口の門や列の末端が上位の順で、目立つ位置ほど上位に配列するのが多いようです。
最上位の場所は、遺族、親族一同、役員一同・社員一同を並べるケースが多く、上位席は、議員や重要取引先などでまとめるケースが考えられます。上下順位を決めかねる際は、会社案内に掲載されている順番を参考にする方法もありますが、供花の配列順位は、相手先と自社との関係を意思表示したと見られますので、十分な配慮と検討を要します。葬儀社に依頼して、順不同等の案内板を掲示しておくとよいでしょう。
なお、たとえば取引先は営業部、金融関係は経理部、親族・社員・友人は総務部というように、ブロック分けをして各部で供花を整理を行うと部署間のトラブルもなくスムーズに整列順位付けが行えます。最後に葬儀実行委員長のチェックを受けると良いでしょう。
ライバル会社からの供花の対応の仕方はありますか?
近年の社葬ではライバル会社からの供花の位置付けは、敬意を表してかなり上位に配置するケースが多いようです。主催者側の考え方がこのあたりに大きく表現されてきます。
対処に困った場合は、関連業界の組合ブロックの中に配置する方法がよくとられています。
一般社員の参列はありますか?
参列の範囲の決め方は、職責で決める、勤続で決める、部署で決める、全員参加する、希望者のみ参加するなど、いろいろあります。
ただし、社員の参加の範囲を決め付けると問題になる場合があります。個人的にお世話になったのでぜひ参列したいなどの要望も考慮して通達するのが良いでしょう。
一般的には「○月○日○時より故○○氏の告別式を行います。係長以上の者は参加すること、ただし係長以下での希望者は○○部○○まで申請をしてから参加すること。支社は支店長、営業所は営業部長のみとする。おって参列の際は連絡致します。」とする事が多いようです。
一般社員の焼香は一般会葬者が済んでからにします。待機する場所は、待合室やテントではなく、会場一番末席にて待つのが良いとされています。これは一般会葬者と同じ扱いということです。なお、実行委員の各係も同じ扱いとし、各係で調整して焼香するとよいでしょう。
社員の香典はどうしたらよいですか?
香典、供花は部署一同で出すケースが多いようです。役職者に対しては、会社側より課長は5000円、係長なら3000円といったようにめどを示し、一般社員は心付け、あるいは辞退にするといったケースが多いようです。そうしないと、社内で混乱が起こり、問い合わせの電話が鳴りっぱなしということにもなりかねません。はっきりとした会社の方針を社内に通達する事が大事です。
社葬に参列しない社員は当日どうするのですか?
朝礼の時に弔慰を表す黙祷を行ったり、社葬開始時間に合わせて黙祷を行う方法があります。また、当日お客様に対応する社内の社員だけ喪章を付け、喪に服す姿勢を社外に示す方法がよく用いられます。なお、供養の場として社内のロビー等に写真、花、香などを飾った仮祭壇を用意するのもよいでしょう。
役員に任命されたら、服装はどのようなことに注意が必要ですか?
葬儀委員長や、副委員長はモーニング、葬儀実行委員長や、各係は略式礼服で係を明示した白と黒のリボンをつけておくと、参列者側にもわかりやすくてよいでしょう。
この頃、会場で色ものの靴下をはいた若い人を時々みかけます。これは、会社の常識を疑われることになりかねないので、特に若い社員の方には細かい服装の明示しておく必要があります。また、カッターシャツの、無地の白に統一する指示を出しておいた方が無難でしょう。
接待係はどのような格好をすればよいですか?
女子社員が担当するケース
①女子社員に貸衣装の黒のワンピースを揃えるケース
②喪章をつけたユニフォームで接待するケース(ただし派手な色づかいのユニフォームは好ましくない。ブルー、グレーなどがよいでしょう)
※長い髪の女性は黒いリボンで結ぶようにしましょう。
男性社員の場合は、略式服が好ましいでしょう。
服装の指示は季節によってどう変えればいいでしょうか?
夏もできれば長袖で揃えるとよいでしょう。また、上着を着るか否かを統一して指示を出しましょう。
ただし、駐車場係だけは、夏は上着を脱ぐこと、冬はコートをはおることを認めてあげましょう。駐車場係は会場外、または離れている場所が多いのであまり差し障りがないと思われます。
葬儀後、記録・保管しておかなくければならない名簿はなんですか?
参列者名簿、来賓者名簿、供花供物目録帳、弔辞・弔電目録、香典一覧表、社葬費用一覧表などがあります。供花供物目録帳、弔辞文、弔電は喪家へお渡しするケースが多いようです。
そのほかの名簿は遺族関係、お客様関係、仕入先関係、故人の私的関係、と区別して、整理しておくとよいでしょう。今後の大切な対応データとなります。
社葬後の手続きとしてどんなものがありますか?
故人のさまざまな名義変更や役員変更に伴う登記の申請、印鑑の登録など、法的手続きをはじめとし、死亡退職金や弔慰金、葬祭費、団体保険金など、会社側が行わなければいけない手続きに関しては、総務が積極的に遺族に対してアドバイスし、励ます心遣いをするとよいでしょう。
会社の顧問弁護士や、税理士を紹介してあげるのもよいでしょう。必要な手続きは、図表8の通りです。
⑧取締役・監査役の死亡後の手続き

